――信越はどんなコースなんですか?
信越は400mアップとかの登りはあるんですけど累積標高が7000mぐらいで、林道や整備されたトレイルが多くて走れるんです。
あと、名物ゲレンデがあって。
ゲレンデを越えた後に2つ目のゲレンデがあって、終わりかと思ったら、またその後にチャンピオンコースみたいなすごいのが登場して(笑)
――今回、事前のペースプランは?
当初の計画からスピードアップして、制限時間の30分前にゴールできるタイム表を新たに作り直したんです。
それを羅針盤のみんなにも共有して、「IBUKI GPSを持って走るからみんな見とってな!」って伝えて。
――いよいよスタート、どんな感じでしたか?
そうですね。ワクワクしていました!
UTMBもUTMFも凄かったけど、信越五岳も応援の人が多くて、スタートの瞬間に花火がバンバン上がるんですね。
それが、きれいなんですよ。
感動的なスタートでした。
――実際のペースは予定通りに進んだんですか?
面白いほど、タイム表通りに進みました。
今回、羅針盤仲間のYさんと参加して、一緒に走っていてお互い調子が良くて。
タイムが想定より速くて、区間ごとに5分づつ短縮していって。
―― 一緒に走る人がいるのは違いますよね
切磋琢磨で進んでいけたし、眠気が来た時には必要以上に会話したり。
――途中痛みとかはなかったですか?
練習から違和感はあったんですが、左膝と右のハムストリングを痛めて、ゲレンデの下りを横向きや後ろ向きで下りたりとか、色々と工夫してみたけど痛くって(泣)
――そんな状態で走ったんですね
痛かったんですが、我慢して進んでいたら、少しずつ気にならなくなって、何とかペーサーのいる101kmまで行けたんです。
――天候はどうでしたか?
天候は、最初は暑かったですね。
でも、途中から土砂降りになって。
4時間ほど降ったり止んだり、降ったり止んだりが続くんです。
降り始めに雨宿りしながら、「どうする?」って聞くとペーサーが天気予報を調べてくれて、見るとレーダーが真っ赤なんですよ。
ペーサーが、「これは待ってても、意味がないですね」って。
周りで「厳しいな、泥濘になったら渋滞になる」という声もあって。
人が踏んでいない、水たまりの状態だったら走れるかもしれない。
今すぐに出れば、泥濘を通らなくていいかもしれないって。
他の人は雨宿りする中でペーサーに、「行きましょう!」って言って飛び出しました。
そこから、予想通り走れたんです。
しかも、雨がアイシングのような感じになって、膝が痛くなくなったんですよ。
「雨も悪くないぞ」って。
それで次々にエイドをパスしながら進んでいきました。。
――余裕はありましたか?
余裕がある訳ではなかったですね。
やっぱり、雨は雨なので。
ペーサーが時計を見ながら、「この調子でいったら多分大丈夫です」って言ってくれるんですけど、半信半疑でしたね。
一つアクシデントあったら、「ダメだろうな」って思ってました。
その時に、捻挫をやっちゃったんですよ。下りで前にひっくり返るぐらいに、転倒したんです。
ソックスを脱いで腫れを見たら嫌になるじゃないですか、なのでソックスの上からテーピングをグルグル巻きにして、そのまま続行しました。
――その時点で後、何kmぐらいですか?
たぶん残り20kmぐらいだったかと思います。
でも、140kmを超えたら完走率がグッと上がるっていう過去のデータがあって、それを信じて痛みをこらえながら走り続けました。
最後のラスボスって言われる400mアップの上りがあるんですけど、しんどかったですね。
さらに、下りのトレイルがズルズルになって渋滞が起こって。
このペースで行くとひょっとして、「やばいかも」みたいな空気が漂っていました。
そしたらペーサーに、「飛ばすけど、大丈夫?」って言われて。
「うん」って答えて、頑張ってついて行きました。
――ロングレースで最後に飛ばせるってすごいですね
自分でも最後に走れたのが不思議です。
がむしゃらにペーサーについて行っただけですけど、最後に走れるって楽しいですね(笑)
――いよいよゴールに
深夜でゲレンデの上から、ゴール会場の明かりが見えるんです。
それが見えた時に、ホッとしたことを覚えています。
中々、ゴールが現れなかったので、「間に合う?」って何度もペーサーに聞いてましたから。
ゴールが近づいてくると、「100マイラーになれる!」って感動しましたね。
――足掛け何年もだから
「100マイラーになる!」って言い出してから、もう10年が経って。
100マイラーになった時と、ならなかった時の差ってすごくありますよね。
階段の違いというか、「1段の差って凄いんだな」となってみて本当に思いましたね。
――ゴールの辺りはではどんな話をしていたんですか?
レースに必要なポイントの期限が切れるというのもあって、たぶん次に100マイルに挑戦するにしても、だいぶ先になるなって。
「ぜひ完走したいんよ」っていう話をしていましたね。
――ゴールテープを切った時は安心という感じでしたか?
サポートや応援してくれた人が沢山いたので、「みんなのお陰で完走できたよ!」って。
IBUKI GPSで見ていた羅針盤のメンバーからも、「おめでとう!」って深夜にもかかわらずLINEがバーって入ってきましたね。
走っている時はLINEを見る余裕がなかったので、ゴール後にさかのぼって見てみたら、「今、調子良いみたいです!」とか、逆に長くエイドにいた時は、「何かあったんじゃないか!?」みたいなやり取りをしてるんですよ(笑)
――チームメンバーとのトレーニングが実を結びましたね
本当に感謝しています。
体力的にも精神的にも、引き上げてもらいました。
自分は美容について徹夜で練習していても、「全然練習してない」って見せて陰で練習するタイプで(笑)
だから、練習も公表したくなかったんですけど、今回は駄目なところも全部見てもらおうって思ってましたね。
性格が変わってきたというか。
練習風景も、「こういう練習してきます!」「大会まで後何日!」みたいなのを公表しながら。
みんな見てくれてて、「あれだけやらんと完走できないんですね!」みたいな事を言われたりとか。
「感動しました!その前の練習を見ていたんで」って、言われて。
「あぁ、みんな見てくれていたんだな」って、そういうのも励みになりますよね。
あ、バックル見られます?
何回も完走している人はいっぱい持っているんでしょうけど。
これがね、欲しかったんですよ。