ナミさん 『THE WORLD BEYOND THE VIEWFINDER』

posted:2023.12.04   location:総社市 砂川公園  photo:@nami248 / @a.yasuda.1976

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

沢山の笑顔に囲まれて


ある出会いをきっかけにランナーの撮影を始めたナミさん。

今では、ファインダー越しにランナーの笑顔を見つめる姿を、岡山のトレイルレースでは見かけないことがないくらいに活躍されています。

撮影する中で出会った笑顔や、山に魅せられた仲間たちと過ごした日々について、
砂川公園で開催されたOFP(OTRA FRIENDLY PICNIC)で紅葉に囲まれながらお聞きしました。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

Wonderful encounters

撮影を始めたきっかけ

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――どういうきっかけで、ランナーの撮影を始めたんですか?

10年と少し前に、カメラ仲間が集まるワイン会で話が面白い素敵なおじさまがいて、ワインを飲みながら沢山のお話をしたんです。

その方が村松さん(現OTRA名誉会長)で。
その時はトレランの話は一切出なかったんですが、1年程経って「大会があるから撮影に来ない?」って誘われて、楽しそうと思って「行きます」って返事をしました。

――それはどんな大会だったんですか?

高梁の歴史街道ウルトラマラニックだったんですけど、「すごい!こんな距離を走る人たちがいるんだ!」ってびっくりして(笑)

さらに、2~3時間で終わるんものだと思ってたら1日中だったんです(笑)
だけど、ランナーさんが面白い方が多くて、とにかく楽しかったんです。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

Take pictures of runners

ランナーの優しさに触れて

―――それまではどういった写真を撮っていたんですか?

いい光の時間を選んで夕暮れのきれいな雲を撮ったり、這いつくばって撮るような動かないキノコとかコケを撮るのが好きでしたね。

大会でランナーを撮るの最初は恥ずかしくて。木の陰とかに隠れて撮ってたんです。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――分かります(笑)知らない人ですもんね

知らない人だから、「撮っていいのかな?」ってうろたえながら(笑)
でも、撮影中も撮影後もみんなが声をかけてくれて。
すごくみんないい人で、こっちも楽しいんですよね。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――普段だったらカメラを向けられるのに抵抗ある人もいますよね

ランナーさんたちカメラを向けるとすごく喜んでくれて。
みんなの優しさが嬉しくて、「来年も来て」って言われて、「はいっ!」って毎年行っていたら
今度は違う大会にも写真撮りに来てって言われて。

今年で10年経ったんですよ。ランナーを撮り始めて。

――すごいじゃないですか

岡山の全部の大会をやっと回れて。
10年かけて撮影コンプリートできました。

Playing in the mountains

山を楽しむ

――撮影以外でも山に行くんですか?

今は地図読みをしていて山に行ってます。
山を走るのは全然やらないですけど(笑)

段々と山に行くのが楽しくなってきて、山のトレーニングの時間も取るようにしています。

――トレーニングというのは?

カメラマンってランナーより先に山に入らないといけないから、「遭難してる場合じゃないな」と思ったのが最初です。
山頂で撮影しようと思うと早い時間から1人で山に入るので。

――1人の山の時間ですね

徐々に一人でも行けるようになって、事前にロケハンをするようになって。
ここに車を停めて、ここから山に入ってと。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

Transition of photographs

撮影の変遷

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――10年前と現在で写真の撮り方は変わりましたか?

変わってると思うんだけど、あんまり自分では分からなくて(笑)

――ナミさんの写真は被写体がみんな笑顔ですよね

それ、ありますね(笑)
「ナミさーん!」って声だして、基本的に口が開いてる(笑)

――印象に残ってる出来事とか大会とかは?

那岐ピークスで、プロカメラマンの室伏那儀さんと一緒に撮影した時があって、彼の撮り方に衝撃を受けて。

彼走りながら撮るんですよ。
ランナーが走るその時を一緒に走って撮ってるから、「凄い!」って。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――被写体についてはどうですか?

子供が走っていて驚いたことがあって。
小学生ぐらいなのに大人と負けないぐらい走るんで、びっくりして。

カメラ構えてたら、写真撮らせてくれないんですよ。
撮られるの慣れてないので。
大人は構えてくれるんですけど、子供は全く無なので撮り逃して。
すごい悔しい思いをしました(笑)

――トレランは撮り逃すことが多いでしょうね

「今は光が全然ないんです」とか、「設定がちょっと違う」とか、
こっちの都合でお願いもう一回来てって思ってしまいます(笑)

最近は撮れた撮れないっていうのは、気にしないようにしています。
基本的には、全員どこかで必ず写真を1枚撮るっていう感じです。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――大会ではどれくらいの枚数撮影されるんですか?

初めは1日で4,000枚とか撮ってました。
でも、そのあとの処理が大変で大変で。

今は1,000枚か多くても2,000枚くらいで、1日を終えることが出来るようになりました。

――それでも写真選定は大変そうです

でも、それぐらいから選ぶのが楽しくて。
その辺は上手になってきたのかな。

最初は全部撮っていたから選ぶのが大変で。
途中から連射だけはやめようって思いました(笑)

Time passes

時は流れて

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――トレラン界も時代と共に変わってますか?

ありますね。その変わった様子が写真に映っていればいいですね。
村松さんに高梁の歴史街道ウルトラマラニックの10年を振り返るのに、写真を選んで欲しいってリクエストされて。

「難しい~!」って。
10年は長いですもんね。

――マラニックは撮りがいがありそうです

景色も季節もいいですし、みなさん楽しみにして来ている感じがします。
大会っていうよりは、本当にピクニックに来てるような。

初めての撮影がマラニックで良かったなと思いました。
あそこで競ってる大会に行っていたら圧倒されて、「もう辞めた!」ってなっていたかも(笑)

10年前のそこで、大きく世界が分かれてますね。

――今頃キノコの写真で個展とか、そっちで巨匠になっていたかもですね

そうですね(笑)そうなっていたかもしれませんね(笑)

――今年、大会はどこに行かれたんですか?

岡山のトレランの大会は全部行きましたね。
私の1年は、トレランのスケジュールで動いてるので。

体調不良で穴をあけてはならないっていうところで、本当に気をつけているのが身体です。
直前で他の人に撮影お願いしますって手配も難しいから。

今まで一度も撮影に穴をあけたことなくて。
撮影途中でお腹壊したりはありましたけどね(笑)

Warriors who love the mountains

山を愛する仲間たち

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――今年はどんな活動をされたんですか?

この2年携わっているOMM塾の運営と、SMM(閑谷マウンテンマラソン)の開催に携わりましたね。

色々な大会を回っているから、運営の人ともランナーさんともお話するし、
自分が撮影で感じたことを運営に生かせたらいいなと思っています。

――運営側での参加のみなんですか?

OMM塾の超入門で、私も参加者として地図読みを習っているんですが、必ず毎回写真を撮るんです。
他の参加者の初めてでドキドキしている顔とか、難しい顔をしていたりとか、撮りがいがありますね。

――OMMはナミさんも出ているんですか?

いえ、まだ出てなくてこれからです。

――その時はカメラを持って行くんですか?

いや、持って行くなと言われました(笑)
2日間ザックを担いで山を回る大会で、荷物も何グラムを減らせるかをみんなが突き詰めるような大会なので。

――タグを切ったり軽量化するんですよね

そうそう、それでカメラを持って行くって言ったらね(笑)
撮影以外ってほとんどないので、出る側ではカメラを持たないことにしています。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――OMMを知ったきっかけは?

きっかけは、人との出会いですね。

2014年のNew Year Trail in KUMAYAMA のスタッフの打ち上げがあって。

私の知り合いは村松さんと数人しかいなくて、ドキドキしながら会場に入ったら席が抽選で前に青木さんと内川さんが座っていて、この2人が面白くって。

その頃、2人はOMMへ行き始めていたんですよね。
私は地図読みを、全く知らなくて。

その後、一緒に山歩きに行ったりとか、山に行く服装とかを教えてもらったりして。
3年前にKESHIGO 100があって、そこで3人のチームができたんです。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――KESHIGO 100を説明してもらっていいですか?

青木さんが100マイルを1人で走る。
内川さんがペーサーで、「ナミさんエイドをやってくれませんか?」って。

「じゃあ足が攣ったら揉んであげる」って、軽い気持ちで行ったんです。
芥子山(けしごやま)の約9kmのコースで、山頂にテントを1つ設置して。
金曜の夜スタートして、日曜の夕方ゴールを目指して。

そのコースを20周したら、160kmを超えて100マイルになると。
それでKESHIGO100って名前を付けたんだそうです。

「誰でも一緒に応援ランで走りませんか?」ってSNSで流したらすごい反響があって。
40人ぐらい入れ代わり立ち代わりでペーサーが集まって。

そして、みんなのおかげで青木さんはやり遂げました。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――ナミさんは最初から最後までずっと?

ずっといました。
最初は寝るタイミングが3人とも分からなくて。

「2時間後に起こして」とか言われて、こっちも間に寝ようとするんですけど、気になって寝れないんです。
1時間ぐらい寝ようかなとも思うんですが、気になって、気になって。

だから2日間で4時間ぐらいしか寝れなくて。

――ナミさんにとってもサポートの初体験ですね

初体験でした。
寝るタイミングを3人で相談したり、どう青木さんを元気づけるかみたいなことをみんなで考えたり。

青木さんは勝手に元気なタイプで、私たちの方が勇気づけられるぐらいで。
結局、足が痛くなったりしながらも、ずっと走れたので無事に達成しましたね。

あれで3人の仲が、ずっと近くなって。

3年前はコロナ禍で大会がない時期でしたから、人とのふれあいはとても大切なことに気づけました。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

Photos of various lights

瞬間を切り取る

――人との出会いで変わりましたね

人の影響を受けて思いもよらぬことになりますね。
不思議な縁ですね。

OTRAも、どっぷり入っているわけではないのですが、走らない私にも程よく関われていると思います。

―― 昨年、OTRA青年部でフォトコンを始めてみてどうでしたか?

みんないい写真をいっぱい撮ってるんで。
こっちも頑張って撮らないといけないなって(笑)

――いい作品が集まってましたね

いいタイミングで撮る人って、まずはその場にいないと撮れないんですよね。

朝日の瞬間とかゴールの瞬間に立ち会う。
まずは、そこにいないといけないっていうのは写真を見たらつくづく思いましたね。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――去年のフォトコンの大賞は?

大賞作品は、児島の山の上に鳥居が立ってるところがあって。
そこに走って辿り着いた時に、「わー!」ってなった瞬間らしいんですけど。
その自然な感じがよくて。

エントリーされた写真は、どれも光が素敵かもしれない。

――トレランは光が変化しますよね

ランナーさんもいい光と思って撮るんだなと、心が揺り動かされた時にシャッターボタンを押しますからね。

――夜もありますが、難しくないですか?

夜の撮影は難しいです。

みなさんに「ヘッデン着けてくださ~い!」って叫んだり、その逆に撮りたいけど「ヘッデンが明るすぎて顔が撮れない!」とか。

ランナーさんは通り過ぎるので、風景と一緒に撮るのが難しいんですよね。
最初の頃は泣きましたもん。
帰ってPCで写真みたら、全部ブレてるから(泣)

特に熊山は難しいんです。
暗い時間からスタートして、曲がりくねっていたり、近すぎたりして。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

逆に総社の高滝山の大会はめちゃめちゃ撮りやすくて、
カメラマンのためのコースかなと思うぐらい撮るポイントがありますよね。

景色がいいから、ちょっと行って待ちかまえる中で、「いいのが撮れた!」って嬉しくなって、
もうちょっと行ってみようって回り回って気づいたら1周回してしまってました(笑)

「ショートに出られるんじゃない?」って笑われて(笑)

――カメラを持ってさらに山の装備でというと大変ですよね

いつも、ヒーヒー言いながら登りますね。
ランナーが来るか、日の出が先かみたいな感じで。
日の出を追いかけると、ものすごく早く歩けるんですよ。

日の出より先に行って、ランナーさんを撮り逃したくないっていうのがあって、足が痛くても頑張れます。

――待つ時間も結構いいですよね

いいですよね。
だんだん景色が明るくなって、1人で静かに待っている感じがいいですね。

1人で登山に行こうとは思わないんですけど、あの時間があるのなら登山っていいなって思います。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――那岐ピークスとかも朝が早いですよね

早いですね。
前泊して朝3時集合とかです。
終わるのも夜になってしまいますね。

そこから帰って、写真を取り込んでって。
くたくたでもこれはしなきゃって。

次の日は大変ですよね(笑)

選定していると眠気も来るから、寝て気分変えてやるか一気にやってしまうか、すっごい悩むんですよね。

――同じ大会でも前の年と次の年では撮影地点を変えますか?

ちょっと変えてみようかなっていうのはありますね。

絶対外さないでって場所で撮ってから、今年は今までとは違うところに行ってみようって行ったらたどり着けなくて、
もう計画がぐだぐだになったりとか(笑)

自分でここに行きたいって計画を立てて、運営が発表してくれるランナーさんの到着予想時間と地図を見て、
何時にここを出ればいいのかって、移動時間を考えるのも楽しいですね。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

NEXT

来年の目標

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

――今後の目標は

区切りがついた気もしてたんですけど、やり続けるってことですかね

いつの間にかの10年だったので、もう本当に続けるっていうだけかなと思います。
ちょっとでも長く山を歩けるように。

ずっとやっていたいですね。

――ランナーへ

ランナーさんはすごいなって、ただただ尊敬しています。

本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

いつも笑顔を返してくれて。
元気をもらえるし。
本当に、「ありがとうございます」と感謝の思いをみんなに贈りたいですね

私も頑張ろうって思います。

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP