みなぴろさん  『CARNIVAL IN FOREST』

posted:2023.11.28   location:総社市 砂川公園  photo:@mi_na.piro / @nami248 / @a.yasuda.1976

OKAYAMA TRAIL RUNNING ASSOCIATION YOUTH GROUP

憧れにチャレンジ


10年前からダイエット目的で少しづつ走り始めた みなぴろ さん。

ランニングを続ける中での様々な出会いからトレイルランニングや山の世界に魅了されていくことに。

今年は、未経験の67kmのトレイルレース『FORESTRAIL HIRUZEN〜SHINJO』へのチャレンジを年初に宣言し初出場。
また、念願のアルプスを訪れたり、OMM JAPAN 2023 KITAYATSUGATAKEにも参加。

大会に向けて行った練習や、育児とランニングの両立、トレイルランニングの魅力や今後についてなどを
OFP(OTRA FRIENDLY PICNIC)でデイキャンプしながらお聞きしました。

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FIRST RUN

ランニングを始めたきっかけ

――ランニングを始めたのはいつですか?

長男が生まれて1年後なので、ちょうど10年前ですね。
出産後に体重が増えて、でも「いっぱい食べたいな~」と思って走り始めたんです。

――それまでも走ったりしてたんですか?

いや、全然走ってなかったんです。
まず、古いウォーキングシューズを出してきて、15分ぐらい家の近所を走っていました。
でも、走ってるか歩いてるか分からないぐらいの運動でした(笑)

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――ゆるやかなジョギングから始めたんですね。

それから少しして姉から丸亀ハーフマラソンに一緒に出ようって誘われまして。

――いきなりハーフマラソンですか。どんな練習をされたんですか?

一度だけ13kmを走って、それが最長でした(笑)
そして、そのままスタートラインに立ちました。

――大会はどんな感じだったんですか?

スタートから2kmで後悔しました(笑)
「何で出たんだろう……」って。

みんな速くて、周囲に置いていかれながら「もうやめたい!」とくじけそうになりながら2時間35分で、何とかゴールしました。
ゴールした時は達成感というよりも、正直「やっと終わった」という感じでしたが、とっても嬉しかったんです。

――その後は?

一人で黙々と走ってはいました。
日々は育児の時間でしたが、一歩外に出て走り始めた時だけ「自分の時間」という感じでした。
かなり気分転換になっていましたね。

FIRST TRAIL

山を走る不思議な人たちに誘われて

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――最初にトレランをしたのは

当時の職場の先輩がトレランをやっていて、誘われて5人くらいで龍ノ口に行ったのが最初です。
その時はトレランをよく理解していなくて、『山を走る不思議な人たち』がいるという程度の認識でした。
まさか自分が山を走ることになるとは思ってなかったです。

――初めてのトレランはどうでしたか?

もう、ついていくのに必死で道中は口がきけなかったです(笑)
でも、緩やかな山の下りでゆっくり走る時間があって、それがすごく気持ち良くて。

当時はトレイルのギアも持っていなくて、今思うと「何であんな格好で走ってたんだろう?」と思いますが(笑)
「ロードを走るより気持ちいいなって。トレラン、やってみようかな」って思ったのを覚えています。

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――その後は?

トレイルランの大会に出るようになりました。白竜湖や呉の20km前後の大会に年に2回くらい参加するようになって。
それが3~4年前、コロナ前のころですね。

――トレイルの大会に出るようになったんですね

はい。その頃におかやまマラソンでフルマラソンにも1度挑戦しました。
さらに高梁の歴史街道ウルトラマラニックにも、「長い距離を走るならここがいい」と薦められて挑戦しました。

60kmぐらいのところまで走って、膝が痛くなってつらくて泣きそうになりました。
でも、道中でおやつを食べたり、やっぱり長い距離は凄い楽しいなって。

そこからトレランをしてる人にいっぱい知り合うようになって、周りにトレラン仲間が増えていきました。
その流れで2年前の最上稲荷の9時間耐久トレイルランレースに参加して、すごく楽しかったんです。
周回コースなので、他の参加者とすれ違うたびに励ましあえるのが楽しくて。

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そうやって出会った仲間との会話の流れから「じゃあ100kmマラソンに挑戦してみようか~」という話になりました。

――100km!? ウルトラマラソンですか。

はい。2年前の周防大島の大会に出ました。
なんとか100km走ってゴールにたどり着いたんですが、制限時間をオーバーしてしまい、完走とはならなかったんです。
でも、いつのまにか長い時間走れるようになっていきました。

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――2023年は?

今年は3月の正木山・鍵山トレイルランと4月の瀬戸内アイランドトレイルに出場しました。
それと、9月の最上稲荷9時間耐久に途中から3時間ぐらい参加して。
そして、10月のFORESTRAILのロングにチャレンジしました。

――ロングというと67kmですが、チャレンジしようと思ったのは。

昨年見たSNSの投稿ですごく楽しそうな大会だなって思ったのと、元々あの山域がすごく好きなので、
「あそこで1日過ごせるってことよね」って思って。

お正月に日の出を見に行った際に、みんなの前でFORESTRAILのロングに出るって宣言しました。

――FORESTRAIL自体は初めての出場だったんですか?

はい。大会出場は初めてでした。
さらに距離も今まで走ったことがない距離だったので完走ができるかはわかりませんでした。
私、ロードが苦手で、ロードになるとみんなに抜かれるんです。

完走するにはロードの練習はしっかりしないといけないなって。
まずはフルマラソンのサブ4を目指そうってロードの練習を積みました。

マスカットスタジアムのサブ4練習会や、操山ナイトトレイル練習会にも参加して、
週2回は自分より走力がある方々に一緒に走ってもらっていました。

――周りの仲間にも恵まれて準備ができたんですね。

はい。でも、大会の少し前にコロナにかかってしまって。まさかっていう感じだったんですが。
なんとか治って当日スタートラインに立つことができました。

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FOREST

憧れのFORESTRAIL

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――FORESTRAILのロングはスタート時間が早いですよね?

スタートは朝5時で、夜明け前のスタートなんです。
前日の夕方に会場入りして受付をして、私は車中泊をしました。結構、車中泊をしている人が多いんです。
車中泊をしたものの、朝コンタクトレンズをなくしたりしてバタバタして、結構ギリギリになってしまいました(笑)

――スタートラインに立った時の気分は?

「咳が止まって良かった!」です(笑)
何とかスタートができて、後はもうとりあえず走るだけでした。

「走るのと歩くのって全然スピードが違うよ」って言われていて。
「ちょっとした上りでも歩くな」ということも仲間に言われてたので。
とりあえず、ゆっくりでもいいから走るっていうことを意識して夢中で進みました。

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夜が明けてきたら、素晴らしい景色が目の前に広がって
「あ!今日1日ここで遊ばせてもらえるんだ!」と気づいたんです。
そうしたらもう、ワクワクしかなくて。もう、幸せしかなくて。

――コースはどんなコースなんですか?

スタートして、最初は林道を進んで、三平山の登山口からはずっと山のトレイルパートです。
田浪の登山口に降りたところからは、ロードと長くゆるやかな林道になります。
そこが自分的には一番きつかったです。林道も多く、コース全体としては走れるコースですね。

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――天候はどうだったんですか?

1日ずっと良かったです。晴れていて、涼しくてこれ以上はないぐらいでした。

――補給はどうでしたか?

1時間に1回くらい100kcalくらいの補給を摂り続けて、おなかが空かないようにしていました。
今回、エイドではまったものがあって。ミルクティーなんです。
エイドにミルクティーがあったのがすごいおいしかったです。
あとは揚げ餅やヨーグルトもおいしかったなぁ。

甘酒も3回ぐらい出てきたんですけど、だんだん甘くなっていく感じがあって。
体調もあるんだろうけど、発酵が進んでいるのかなって。最後はすごく甘くておいしくて。

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――進むペースは安定していましたか?

制限時間が15時間だったので、目標は13時間ちょっとくらいで行けたらいいなと思っていました。
事前に試走をしていたので、そこから時速何kmで走ることができるか、林道とトレイル区間でそれぞれ計算をして。
それを表にして自分で持って走っていました。

途中までは大体オンタイムでした。でも、途中で膝がちょっと痛くなって後半にかけて走ったり、止まったり。
そこで一緒に試走もした知り合いのおーちゃんに追い付いて、一緒に走ることになってそこからまたすごい楽しくなって。

――途中完走はできる手ごたえはありましたか?

それが、道中楽しすぎて完走はできるだろうと思って走っていました。
後で色んな人からコメントをもらって、私が後半しんどそうだったらしいんですけど。
自分では全然気付いてなかったんです(笑)

メンタルのとこでは全然落ちてなかったんです。
ずっと自分のペースで走れていましたし。

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――FORESTRAILはの良さどういったところに感じましたか?

やっぱり景色、山の良さ!ブナの森が時々出てきて。その下には笹があって。
あとはエイドの人の温かさ。地元の方々の温かさですね。

――心が折れることはなかったんですか?

ボランティアの方々も岡山の人たちばっかりだったので。エイドに行けば誰かに会える、と思って頑張れました。
操山で一緒に練習してくれていた方々もいて、何度もエイドで「ゴールできるよ!」ってすごく励ましてくれて。

エイドで食べて、話をしたらまた元気になって、エイドを出て行く感じでした。
ずっと幸せで、楽しい!しかなかったです。

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――ゴールはどうでしたか?

ゴールがグリーナブル蒜山っていう会場なんですけど、自分がゴールする時は、夜になっていて、
ライトアップされた会場の明かりが見えた時にすでにウルウルしていました。

明りに向かって走るのは夢の中みたいで、そういういうのが本当に感動的で夢のようないい時間でした。
本当に1日ありがとうございましたっていう気持ちを持ってゴールに向かったんです。

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――ゴールの気分は?

もう泣きました。
会場に近づくにつれ、大会MCのトモティさんの声が聞こえてくるんです。
遠くからマイクのふわっとした音で「帰ってきました~!」って聞こえてきて。
もうその頃には泣いてました。

トモティさんも、いろんな大会で会うのでもう顔も知ってくれて。
そういう人が迎えてくれるのはめっちゃ嬉しいので。
更に操山のナイトトレイルのメンバーたちがゴールで待っていてくれて。
そこに向かって、一緒に走ったおーちゃんと手つなぎでゴールゲートをくぐりました。

――最高ですね

本当に最高でした!
今まで、知り合ってきた人たちとか、自分がやっていこうと思って頑張ってきたことがあって。
それがあってゴールできたなぁって、改めて感じました。

また、エイドや大会関係者に知った顔があるというのは地元の大会の良さですし、
地元じゃなきゃ今回、完走できていなかったかもしれません。

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――またFORESTRAILに出場しますか?

次はスタッフとして参加して応援したいですね。それもすごい楽しいんです。
やっぱり知り合いが増えましたし、応援してると私も頑張ろうってすごい感動するんですよね。
やっぱり、一生懸命走っている人を見るだけで、胸打たれて感動しちゃいます。

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ALPS&OMM

山で遊ぶ

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――トレラン以外にも山で活動されていますよね

OMM(Original Mountain Marathon)に参加しました。
今回で3回目の参加になるんですが、自信が持てたのが、地図を渡された時、地図が立体的に見えるような感じがあったんですね。
バディとルートを話しながら進められたのがすごくワクワクして、全然トレイルじゃないところに入っていったり。

自分の背の高さよりも高い笹の中を上がっていく時には「取り敢えず無になろう」と(笑)
「あのスカイラインを目指すのみだ」みたいな。
道なき道をコンパスを頼りに進むんですけどすごく楽しいんですよ。

アルプスは、行ってみたいって言っていたら、おーちゃんが連れて行ってくれて。
本当に憧れていた通りの景色がありました。

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1日目の夕方には、すごい雷雨になって。
かと思ったらすぐに止んで。
今度はすごい夕日が見えて。
雲が流れていって。
雷鳥が見えて。

2日目の朝、暗い中出発して山が赤く染まるのが見えたり。
もう、全部が良かったです。

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RUN&MOM

ランと育児と

――育児とトレーニングの両立は?

ちょっとした時間で走ってましたね。子供が起きて来る前の時間です。
朝の子供が起きるまで走り終えるというルーティンでした。

今、子供は6年生と2年生なんですが、下の子は物心ついた時は私はもう走っていたので
そういうもんだと思ってくれていて、大会がある時は「頑張ってね」「無事帰ってきてね」って言ってくれます。

――理解の上に成り立っているのですね

逆に私がイライラしていたら、「ちょっと山へ行っておいで」とか「ちょっと走ってくれば」とか行ってくれたり(笑)
「ママがこんなに走っているのどういう風に思う?」って子供に聞いたことがあったんです。

――子供はなんて?

「個性的だよね!」って(笑)
家族の中ではキャラが確立されているんです。
でも、この間も「また冒険に出かけてくるから」って言ったら子供が「ママ、冒険多くない?」って(笑)

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OTRA

OTRAについて

――OTRAについて

最初、OTRAってすごいマニアックな団体だと思っていて、何も知らない私が入っちゃいけないって思っていたんです。
でも、実際に入ってみると、走るだけじゃない文化的なところとか、山を大事にしようって考えて活動してることを知って。

すごくそこにはやっぱり共感できますし。
仕事以外で知り合える人って、それ自体が気分転換になっています。
名前はわからない人でも、いろんなところで会い始めたりとか。
仕事だとかしこまって話すような年齢の人でも、フランクに話ができたり。
楽しい人・楽しんでる人が多いですよね。

――OTRA青年部では工作を担当していると

そうなんです。(笑)
OFT(OTRA FRIENDLY TRAIL)の企画で、UTMFで活躍した山本諒馬くんにOTRA青年部から記念の盾を贈呈するっていうことになりまして。
その盾をハンドメイドで作ったらそこから工作係になって、今では「工作員」って呼ばれています(笑)

他のメンバーと完走メダルなども作りましたが、元々何かを作るのが好きなので、楽しいです。
工作のテーマは「チープであれ」なんです。そこはブレずにやらせてもらっています(笑)

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NEXT

来年の目標

――幸せな1年でしたね

はい!幸せな1年になりました。
そう思えばトレランを始めてからより幸せ感が増えていっているのを実感します。
もう、時間が全然足りないですから。

私のように最初は一人でも、めちゃくちゃ頑張らなくても、ゆっくりでも何か続けていたら、導いてくれる人と出会えたり。
自分でも思ってみないところにも行けたりするので、とりあえず続けることが大切だなって思いました。

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―――今後の目標は?

FORESTRAILをゴールした時に操山のメンバーから
「良かったね、これで次が見えたね!」って言われました(笑)

次の目標はまだ決めていないですが、やっぱりロードよりはトレイルが好きなんで。
しんどい時でも景色や風が感じられるのが好きですね。

山では絶対一人になる時間があるんですけど、それでも木がざわざわしていたり。
自分の足で向こうの方に見える山まで行けるっていうワクワク感みたいなものがありますね。
あそこまで行くんだ!みたいな。

だから、トレイルで…あ、いや、でもまだ私サブ4が達成できてないので、まずはそこからですね(笑)

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RACE PROFILE

大会情報

FORESTRAIL


FORESTRAIL

新庄~蒜山のブナの森を駆け抜けるレース。
岡山県の新庄村と真庭市蒜山地域を走る、西日本最大級のトレイルランレースです。

2023年大会
大会名 FORESTRAIL HIRUZEN-SHINJO 2023 supported by GREENable
開催日 2023年10月22日(日)
開催地 岡山県真庭市 グリーナブル蒜山
距離(あさなべ・みひらやま縦走コース) 67km
制限時間(あさなべ・みひらやま縦走コース) 15時間
主催 FORESTRAIL HIRUZEN-SHINJO 実行委員会
WEB https://forestrail.com/
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